
矢橋大理石を選んだのは、手に職をつけ、専門職として長く働きたかったから。入社してからは現場で車軸箱の生産に携わっています。車軸箱とは、鉄道車両の車両と車輪の間にある重要部品。車両によって大きさが違い、多くは横1m×縦30cmほどの箱型で、当社では300~400種類を生産しています。車輪を装着するために使われるだけではなく、車両を支えるためにも不可欠な部品です。僕の担当は旋盤加工です。NC旋盤のマシン内部にある加工テーブルと呼ばれる台に鉄を取り付け、適切な刃物を選び、マシンを動かすためのプログラミングを行っています。鉄の重心(芯)を見極め、それに応じて座標を変更し、刃物の角度を調整しながら加工するのが楽しいです。
鉄は鋳物であるため、見た目は同じように見えても重心(芯)の位置がバラバラです。同じ型番だからといって、何も考えずに削ってしまうと失敗してしまうため、同じ仕事の繰り返しではありません。300~400種類の車軸箱にはそれ以上の削り方があり、それぞれに最適な刃物や加工のプログラミングが決まっているため、それを地道に一つずつ覚えていくのが僕の目標です。将来的には、PCでのプログラミングにもチャレンジしたいです。仕事でやりがいを感じるのは、矢橋大理石製の車軸箱を使っている電車に乗ったとき。「こんなにたくさんの人を運んでいるんだな」と思うと感動します。特に南海線は、車軸箱が見える位置についているので無意識に覗き込んでしまいます。その他、新幹線にも使われているのが嬉しいです。