『丁場紀行』丁場形状と採掘方法の変化 No.2-2

『採掘方法の変化』について

御影石は相対的に硬いので、石目と呼ぶ割れやすい方向を利用して採掘することが多い。
当初は機材がなかったので露出している部分(大きい玉石)を採掘していたが、採掘機材が揃うようになり、下へ横へと広げて採掘している。
①削岩機(ドリル)が導入されるまでは、鑿(のみ)や鏨(たがね)を使って石を割っていた。のみを使って石目に沿って10~20CMピッチで丸い穴を一列に開け、くさび(せり矢)を穴に打ち込み、一列に並んだせり矢の頭を端から端まで同じ強さでハンマーで打つとしだいに食い込んだくさびによってヒビが入り平らな面で割れる。
②削岩機(ドリル)が導入されてからは、岩盤の上部から必要とさせるサイズに削岩機を用いて深さ50~100CMの穴を10~15CMピッチで開けて、その中に黒色火薬を入れ爆破させて浮き上がらせる方法で大割し、小割も同じ方法で整形した。*国と地域によっては黒色火薬を使用せず、膨張セメントを使用している。)
③近年では、御影石用のダイヤモンドワイヤーソーで大割する丁場が増えている。(小割は相変わらず削岩機使用が多い。)
④中国では大部分の採掘場は採掘場用大口径丸鋸を使用しており、中国だけの方法です。

『丁場紀行』丁場形状と採掘方法の変化 No.2-2

大理石の採掘方法の変化については、大理石の代表的銘柄のビアンコカラーラを例にとって説明致します。

ローマ時代初期の丁場作業者は奴隷として送られた人々だったようで、それが採掘作業員の始まりですが、徐々に地元住民の作業者となっていき、その作業者は『MARMORAII 採掘作業員』、『QUADRATARII 岩石を四角く整形する作業者、『SECTORES SERRARII 手動の鋸で挽板を作る作業員』にグループ分けされていた。
MARMORAIIらは、自然の割れ目、山キズに鉄の楔(右の画像)をハンマーで打ち込んで裂け目を広げる方法を取っていた。自然の割れ目がないところでは、10~20cmピッチで穴を開けて、くさびを打ち込んで直線的は割れ目が入るようにしていた。※画像は、穴だけ開けて中止した跡(約80年前に閉鎖の丁場)

『丁場紀行』丁場形状と採掘方法の変化 No.2-2そうして切り出された原石を更に四角くさせるのがQUADRATARIIの役目でハンマーとノミで整形していました。
右の画像がその整形された跡が残る当社の在庫原石

*左画像がスタラティーテ サマトルザ
*右画像がカラカータヴァーリロザート

『丁場紀行』丁場形状と採掘方法の変化 No.2-21830年代になり、採掘に火薬を使用し始めてから作業はより簡単になりました。初期の頃はVATATAと呼ばれる火薬で、深い穴を開け、そこに塩化水素酸を流し込んで発破をかけますが、一度に大量の石が採れるが、予想以上に砕けたり、発破の衝撃で原石自体や周辺にもキズが入ってしまうのが大きな問題であった。


1800年代後半に大手2社がワイヤーでの採掘を始めました。この方法は以降の採掘に大きな変化を与えました。
そのワイヤーは2~3本の5mmの鉄製のワイヤーをらせん状にねじられているもので、長さは約2kmに至り、各ポイントに滑車を設置し、そこで角度を変え上下、左右に切断することが可能となり、切断には水と砂を使用し、切断しきれない部分に限り、少量の火薬を使用しました。この方法で採掘したい部分を限定でき、また無駄なく安全に採掘されるようになり、丁場も段々状のベンチカット式に採掘できるようになりました。しかし全く危険性がなくなったわけではなく、作動しているワイヤーが切れると、鉄の鞭のように切れたワイヤーが丁場中を駆け巡るので、凶暴な凶器に変貌し、油断は禁物でした。

『丁場紀行』丁場形状と採掘方法の変化 No.2-2

おすすめ記事