『丁場紀行』フィリピン丁場紀行 No.9-2

◆主なフィリピン材を紹介します。まず初めにルソン島産からです。
・ライトアラガオ(マリポサ) : 
丁場はルソン島 ブラカン州 ノリザガレイに位置します。
当社はライトアラガオと称していますが一般的な流通名はマリポサです。初入荷は1970年初期でフィリピン材では一番最初に扱った石種です。淡いクリーム地にほんのりピンク味が部分的に混入し優しい印象でした。残念ながら丁場閉鎖となっています。 『丁場紀行』フィリピン丁場紀行 No.9-2・サザンクラウド : 
丁場はルソン島 リサール州 テレサに位置します。この丁場はテレサマーブル社が運営しています。
テレサベージュ、ファーンタンと同じ山の頂上付近で現在も採掘されていますが、色調の濃淡差が広く、柄も安定していません。よって取扱から外しています。現在の流通名はチェストナッツブラウンです。
『丁場紀行』フィリピン丁場紀行 No.9-2・カピストラーノ : 
丁場はライトアラガオと同じエリアのルソン島 ブラカン州 ノリザガレイに位置します。
一時的ですが世界的にライトベージュ系では一世風靡していました。
丁場自体は大きくなく、至る所の露出している岩体がら採掘し、終われば次に移る採掘の繰り返しなので安定した色柄を確保するのは非常に難しい石種でしたが、硬くて艶乗りが良い石種でした。残念ながら良材採掘が困難になっています。
施工例としては、京王プラザホテル(新宿)床、日比谷シティー壁に使用されています。
『丁場紀行』フィリピン丁場紀行 No.9-2テレサベージュ : 
丁場はルソン島 リサール州 テレサに位置します。この丁場はテレサマーブル社が運営しています。
テレサベージュの『テレサ』は社名と思っていましたが地名だったのは初訪問から10年後の2000年に知りました。サザンクラウド、ファーンタンと同じ山の中腹で現在も採掘されています。
アジアでは一早く2000年に採掘にイタリア製ワイヤーを導入し量産を図り、アジア産大理石の中で我国で一番多く採用された石種です。石質は硬く艶乗りが良いのですが柄合わせが難しい石種でした。下の写真のジオラマですが、発砲スチロール製で毎日採掘した部分を削っていました。
この丁場はSDGsの走りで、品質的に原石販売不可なのはスラブ作成or規格品作成、丁場のコッパは砕石or石粉(主に鶏のエサ用)にして販売していました。
施工例としては、名古屋駅コンコース 柱型、壁に使用されています。
『丁場紀行』フィリピン丁場紀行 No.9-2ファーンタン : 
丁場はルソン島 リサール州 テレサに位置します。この丁場はテレサマーブル社が運営しています。
サザンクラウド、テレサベージュと同じ山の中腹で現在も採掘されています。
ピット、層によりテレサベージュtypeとファーンタンtypeが採掘されています。一般的な流通名はライトフォンタンです。石質はテレサベージュと同じです。柄合せより地色合せを優先しました。
施工例としては、東京オペラシティータワー棟1~3階トイレです。
『丁場紀行』フィリピン丁場紀行 No.9-2
◆ここからはセブ島産を紹介します。
セブ島は御存知の方が多いと思いますが、島全体が南国の楽園リゾートです。
特にセブ島と隣接しセブ国際空港のあるマクタン島(紹介するマクタンストーンの産地)にはホワイトサンドビーチが多くあり、高級リゾートホテルやレストラン。数々のショップが立ち並ぶ自然と都市の両方を堪能できるエリアです。
そんなリゾートのセブ島に2回行きましたが、残念ながら海を見たのは飛行機の座席からの上空から見た海と空港から丁場への海岸沿いを移動中に所々で見えた海だけなのです。当時は『次に来た時に満喫したららいいわ。』と思っていたのですが、そのようなチャンスは二度と来ないのが世の常なのです。他国での出張時にも言える事なのですが、『丁場紀行』を書くようになってから丁場だけを見て写真を撮るだけでなく、料理、観光地、生活などの写真があれば良かったなと後悔しています。

テレサロサータ : 
丁場はセブ島 セブ州 ナガに位置します。この丁場はテレサマーブル社は運営しています。
見本画像のように、ピンク系の地に白柄(サンゴの化石)が入る世界的にも類のない石種です。テレサマーブル社は柾目使用と平目使用の両方ともに推奨していますが、当社は次に紹介するティーローズを柾目使用していたのでテレサロサータも柾目で使用しています。
現在も安定して採掘されています。
施工例としては、トッパン小石川ビル(水道橋)壁に使用されています。
『丁場紀行』フィリピン丁場紀行 No.9-2ティーローズ : 
当初の丁場はルソン島 ブラカン州 ドーニャレメディオストリニダードに位置します。
しかし、1990年前半に枯渇し丁場閉鎖となり、その後はセブ島のテレサロサータの丁場の上部の濃い手をロソセブアノ(ロソ=赤い、セブアノ=セブの住民)の名称で採掘し、オリジナルのティーローズより若干淡いですがティーローズの代替にしています。
『丁場紀行』フィリピン丁場紀行 No.9-2 ・マクタンストーン : 
丁場は冒頭に書きましたが、セブ島 セブ州 マクタンに位置します。
石質、色柄は沖縄県産の琉球石灰岩に似ていて、サンゴの堆積で形成されています。
丁場というより画像のような大きな芋掘りの感じです。完全に観光島内にあるので現在は採掘許可されていません。
『丁場紀行』フィリピン丁場紀行 No.9-2

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