■5月25日（月）：　
飛行機は定刻で青島空港に到着し、空港で仲野さん、張さんと合流。『時間がない、時間がない。』と言うので、簡単な昼食を食べて乳山に移動。今から丁場巡りが始まりです。この時点では、今回の出張が中国出張での一番過酷で忘れられない出張になるとは思ってもみませんでした。

・G３６４　：　
丁場は青島から北東に約230ｋｍに位置します。淡いピンク系の綺麗な石種で、大阪地区の大型工事に提案するための調査で視察。最終的に採用決定となり無事に調達し、工事も無事に終了しましたが残念ながら現在は丁場閉鎖となっています。
・ピーチパールグレー　：　
丁場は青島から北東に約200ｋｍに位置します。薄グレー地に1ｃｍ程度の白玉と薄ピンク玉が混入し、一見　テラゾー風に見える石種です。
丁場の歴史は古く、1970年頃から手掘り採掘開始し、日本での需要が増え始めたのは、丁場から大きい割肌面の板（1000×1000×100厚前後）が取れて、我国では2010年前半にその自然な風合いの大判割肌が採用されるようになってからです。割肌以外の製品（本磨き、水磨き、JP、ビシャン他）の需要が増えてきたのは、テラゾーが再流行し始めてからだと思います。
石種名はG３〇〇でしたが、日本で馴染まれるように、色々と考えたのですが良い名称が思い浮かばず、見た目そのもののピーチ玉、白（パール）玉、グレー地の『ピーチパールグレー』にしてしまいました。残念ながら、割肌スラブ採掘丁場は閉鎖、建築用の原石丁場は稼働しています。
・その日の夕食（20時半頃）　：　
青島に戻り、疲れた体に野菜中心の料理でキンキンに冷えた青島ビールで乾杯。

■5月26日（火）：　
5時前に起床し、青島から河北省石家庄に飛行機で移動。その後は丁場に車で約2時間半かけて移動。
・アースグレー　：　
丁場は石家庄から北西に約100ｋｍに位置します。福建省産のG654の代替品として紹介されたので視察しました。悪路約300ｍを徒歩で登頂。採掘開始して日が浅く、表層の玉石を2段で採掘していました。
訪問時の丁場壁、工場で原石を見る限り、問題ないと判断したが、2年後に丁場閉鎖となりました。
・その日の昼食　：　
丁場視察終了後に近くの町の食堂で、地元料理を食べました。食材はロバ君の肉尽くしです。
・その日の夕食（21時頃）　：　
石家庄から内モンゴル　フフホトに移動です。中国の国内便は毎回ヒヤヒヤです。
フフホトの地元の羊料理屋さんで羊料理と常温の生暖かいビールで乾杯。

■5月27日（水）　：　
4時に起床し、朝食は近くの『何でも屋』で菓子パンとクッキーを買って食べ、車で約4時間かけて最初の丁場に移動。
街中を抜けると、草原と木のない丘、木のない小山ばかりの全く変化のない景色、舗装が良ければ車中で写真整理等の仕事が出来ますが、ガタガタ道なので仕事は不可能。体力温存に寝るしかない道中でした。
・ガーネットブルー　：　
丁場はフフホトから北東に約250ｋｍに位置します。同じエリアに4社が採掘していますが、今回は案内の張さんが事前に調査し、一番大きく、品質が安定している丁場を視察しました。
青味があり一時的に流行しましたが、ビリキズ（袋キズ）が全体的に存在するため、現在は需要が減っています。
・ズーシーランジャン　：　
丁場は、ガーネットブルー丁場から約5ｋｍに位置します。ガーネットブルーの薄手タイプですが、訪問時は政府からの指導で採掘休止だったので、この石種の登録は見合わせました。
残念ながら現在も丁場閉鎖となっています。
・その日の夕食　：　
昼食を食べたかどうか覚えていません。写真がないのでたぶん昼食なしだったと思います。
丁場視察後にまたもや4時間かけてフフホトに戻り、夕方の便で湖北省の武漢に移動しました。
夕食は、ヘトヘトなのでホテル近くの食堂で軽い前菜と麺で済ませました。

■5月28日（木）：　
今日も4時に起床し、朝食は近くの屋台で食べて、車で約4時間かけて最初の丁場に移動。屋台の写真が無いのが残念。
道中は揺られながら爆睡していた。まあ私は乗り物に乗った瞬間に寝れるのが取柄かも？　飛行機でも離陸前に寝てしまい。気付いたら雲の上のパターンが多いのです。これは体力温存の本能だと思っています。

・サンセットゴールド　：　
丁場は、武漢から北北西に約250ｋｍに位置します。小高い山の上部を採掘しています。
訪問時、この地区（上部は錆系、下部は白系）で採掘許可を取得して採掘している業者は9社、無許可で多数が採掘。訪問した丁場主は錆系5丁場、白系1丁場を24時間作業で採掘していました。
夜間に丁場用大口径で切込みを入れ、明るい時に底面に楔を入れて起こし、原石状にする方法です。
また丁場近くには工場があるのが一般的ですが、この地区全体で大きい工場（大口径10台以上、丸鋸10台以上）だけでも50社以ありました。当時は中国国内だけでなく、海外からの錆石の注文は、この地区に集中しつつありました。膨大な埋蔵量があるので、膨大に採掘し、膨大に加工しても、この地区には膨大な埋蔵量があるので問題ないと思っていましたが、数年前に政府の指示により環境問題で丁場閉鎖になりました。怖い話です。
・アロマベージュ　：　
丁場は、サンセットゴールドの下部部分です。白地と言うより淡いりベージュ気味の地色です。
白御影が黄ばんだ風合いなので日本では流通しないままに、サンセットゴールドと同じく、環境問題で丁場閉鎖となりました。
・その日の昼食　：　
今日は、この2石種で終わる予定であったが、無理したら新603（当社名はニュー603）の丁場を日が暮れる前に見れて、その後、急げば武漢から成都行きの飛行機に間に合うとの話になり、予定変更してニュー603の丁場に向かう（ここより車で約2時間）事になり、その前に何でも良いので何か食べよう。となり、入った食堂がアチャーの汚さ。店の前にうす汚れたジャージを着たオジサンが居たので、浮浪者と思いきや、その人が料理人。仲野さんと顔を見合わせて『経験上、火が通っていれば大丈夫やろう。』と覚悟を決めた。道にあるコンロで料理された完成品を気合を入れて食べたら意外と美味だった。