『丁場紀行』トルコ丁場紀行:前編 No.5-2

◆MARMARA島 
ストリアートオリンピコ : 
マルマラ海に浮かぶマルマラ島(このマルマラがマーブルの語源)で約1700年前から採掘されている世界的な銘石。ビサンチン文化の代表石種は、このストリアートオリンピコ。参考にギリシャ文化はペンテリコン、ローマ文化はトラヴェルチーノロマーノ、ルネッサンス文化はビアンコカラーラです。当初はイタリア人がストリアートオリンピコ(ギリシャ産)として世界に広めました。よって当社の登録名はストリアートオリンピコです。
反対にトルコではストリアートオリンピコでは通じず、一般名はマルマラホワイトです。島の面積は約118km2、採掘場所は島の南側のSARAYLAR村一帯で採掘。
マルマラ島内では30丁場が採掘しているが、均一なストレート柄(写真の柄)を安定して産出しているのは3丁場程度で、他は線柄の少ないタイプ、太い線柄のタイプ、全体的にグレー地のタイプなど色んなタイプがあります。写真のように側面に赤土を噛んでいる節理キズは一定方向に入り、その節理を利用しワイヤーソーと併用して採掘し、その後に整形しています。トルコ各地のみならずウクライナの古い建物、遺跡に多く使われています。『丁場紀行』トルコ丁場紀行:前編 No.5-2
『丁場紀行』トルコ丁場紀行:前編 No.5-2◆ELAZIG地区
ロッソレーヴァント トゥルコ : 
イタリアのロッソレーヴァントに類似している石種です。特徴はエンジ色の大きい玉柄の集合体いう感じです。大きい壁や大きい床に使用するというよりは、アクセントのように少量で印象をグレードアップするのに最適です。現在も丁場稼働しています。
『丁場紀行』トルコ丁場紀行:前編 No.5-2◆DIYARBAKIR地区
③タイガーベージュ : 
当初イタリア業者から中東産のアンティークベージュAとして紹介されたと同時にトルコ業者からもトルコ産として紹介され実際に丁場に訪問したら、同じ丁場写真、同じ色柄だったので、丁場からイタリア業者に電話したら『丁場を確認されたのであれば白状します。同じ石種です。』となった経緯がある石種です。直ぐに白状するとは、なんと可愛げのあるイタリア人でしょうか。
丁場は、イスタンブールから東に約1,000kmのトルコ東部の都市ディヤルバキルから北に約100kmのハニ(HANI)近郊。この辺りは世界4大文明のメソポタミヤ文明を生み出した2大河川の一つ、ティグリス(TIGRIS)川の源流にも近いことから、石種名はチグリス川に因んで名付けらました。TIGRISはアラビア語源でも『虎』の意味で、これを英語名に転じて、その色合いを表す言葉とともに。タイガーベージュ(TIGER BEIGE)となったそうです。

この丁場には、トルコ材では一番多く訪問しているので紹介する話が沢山あります。

・2001年に訪問した時には、ディヤルバキル空港もド田舎の空港で、そこの人達も田舎人です。昔ながらの民族衣装の腰に小刀をぶら下げているオジサン達も居ました。そこからボロ車に乗って、田舎道を2時間半~3時間掛けて丁場に向かうのですが、到着するまでに軍による検問が2回あります。検問する軍人は親日の若い兄ちゃんで、パスポートを提示すると笑顔で『ようこそトルコへ』とパスしますが、山の上では機関銃を持った軍人が我々を狙っています。そもそもハニ地区は昔から大理石が産出すると分かったいてもクルド人居住地区だったので手つかず地区でしたが、クルド人問題が解決するようになったので、採掘し始めたのです。

・その後、少し経って、クルド人問題が再燃し始めた時には、軍の検問が厳しくなり、事前の連絡が必要になり、検問所の横の小山からはバズーカ砲で狙われていました。また丁場には丁場主が雇った警備員が機関銃をぶら下げて警備していましたが、羊使いのようなオジサンなので、このオジサンが目がくらんで豹変したら『万事休す。』を覚悟して検品していました。時に上空ではトルコ軍の戦闘機演習で真上を低空飛行で飛び回っているような状況でした。

・2004年頃と記憶していますが、原石検品に行くためにイスタンブール到着時に『丁場で死亡事故発生したので、警察の現場検証があるので丁場に案内出来ない。』と連絡があったが、他石種の検品があったのでディアルバキルに向かった所、『どうにか現場検証が終了したので案内出来る。』と連絡あり丁場に向かいました。事故は作業員が原石の下敷きになっての死亡であった。その時に何処で?って聞いていなかったが、原石検品している時に『その原石の下敷きでペッチャンコになりました。』って聞かされました。ヘビースモーカーだったそうなので線香代わりにタバコを添えて合掌しました。もちろん、その原石は良材でしたが購入は見合わせましたが・・・・・。 残念ながら、現在は閉山しています。『丁場紀行』トルコ丁場紀行:前編 No.5-2 ④オーシャンベージュ : 
当初のイタリア業者名はアンティークベージュBで、当時はタイガーベージュと同じ丁場から産出されていました。初期の丁場ではタイガーベージュBでしたが、間違いの元なので別名にすべきとなり、調達先に考えてもらい、オーシャンベージュになりました。
*丁場に向かって、右側のピットからタイガーベージュ、左側からオーシャンベージュ、中間部からはタイガーとオーシャンの中間風が産出だが中途半端なのでNGとしました。
一時は高評価でしたが、残念ながら現在は閉山しました。
『丁場紀行』トルコ丁場紀行:前編 No.5-2 ◆少し疲れたので気分転換に癒しの画像を紹介します。
・ある時に丁場に向かう道で運転手が急ブレーキ。皆で降りて大騒ぎです。何かと思えば、20cm位の陸亀が交尾中。珍しいので皆で見学、周りを人間に囲まれてもオスは口を開けてアヘアヘと夢中で気付かずでしたが、数分後に廻りの視線を感じたのかキョロキョロし大慌てで離れ草むらに逃げていきました。お邪魔してゴメンナサイ。
・トルコのカラスは小型でツートンカラー(黒+グレー、黒+ライトグレー、黒+白っぽいグレー)で可愛いいカラス。日本名ではズキンガラスです。初めて見た時には『何じゃこれ??』と思いましたが見慣れてしまいました。
・海外の田舎では家畜の移動で道が塞がれることがしばしばあります。その間は通過終了を待つしかないのです。
『丁場紀行』トルコ丁場紀行:前編 No.5-2 ・丁場主との合流待ちにイスパルタのバザールを見学しました。美味しい野菜やフルーツが農家直営で販売されています。
店の前に立つたびに、ほぼ強引に試食させられました。何もかもが濃い味で、本来の味を体感出来ました。
『丁場紀行』トルコ丁場紀行:前編 No.5-2

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