『丁場紀行』トルコ丁場紀行:後編 No.6-2

◆MUGLA地区
アラベスカートアルジェント : 
丁場はイズミールから東南に約220kmに位置する。透明感のある少しグレーがかった白にダークグレーの模様が全体的に入る白大理石です。
丁場は節理キズが多いですが、その節理と節理の間には良質の石が眠っています。
『丁場紀行』トルコ丁場紀行:後編 No.6-2 ⑮ライラック : 
丁場はMUGLA市内から約40kmに位置する。2017年11月の訪問当時は3社が採掘でした。
白地に紫柄が入る世界的に珍しい石種です。地色が白く、紫柄が均一に入るのが良いとされるが全体の5%以下程度。更にライラックの中で地色が白く、紫柄が少ないタイプを最高級品質の『ニューヨーク』と称されますが、これは全体の1%以下です。
丁場はキズが多く、原石毎にサイズが違い、大きいサイズは少なく、原石毎で紫柄が変化。一つの丁場でニューヨーク、ゼブラ、ライラックライト、ライラックミディアム、ライラックダークの5タイプに区分しているそうだが基準判断が難しい。
『丁場紀行』トルコ丁場紀行:後編 No.6-2◆DENIZLI地区
パルラックトラヴァーチン : 
丁場はデニズリー空港から約40kmに位置する。同じエリアに約30丁場が採掘しています。その中で、ライトタイプ丁場は5丁場です。2014年の訪問丁場は7層で採掘していたが、1~3層はスカスカ、4~7層が締まっており、7層目が最良であった。丁場は温泉地に近く、世界遺産のパムッカレもその温泉地の近くにあります。
『丁場紀行』トルコ丁場紀行:後編 No.6-2
★トラヴァーチンのウンチク紹介
トラヴァーチン(Travertine)は、温泉、鉱泉、地下水中から生じた緻密、多孔質など多様な構造を持つ石灰質化学沈殿岩です。
一言で言えば、トラヴァーチンは温泉沈殿物の一種で温泉に溶け込んでいるカルシウム分が沈殿しできた軟弱で多孔質な物をトゥファ(tufa)と呼び、そのトゥファが継続的な熱作用、圧力作用で硬質になった岩石です。縞模様は季節によって沈殿の速さが異なり層状の縞模様になったと考えられます。また更に緻密で硬質な岩石となったのがオニックス(ONYX)なのです。

トラヴァーチンの穴は、熱水泉(冷泉)で形成される過程で水生植物、藻類、コケ類が表面に生えて、その上に石灰質が沈殿し、また生えて、また沈殿の連続で特徴的な多孔質(穴)となった。オニックスは熱水泉の温度が高温過ぎて植物が成長出来ず、多孔質でない緻密な岩石となってオニックスとなった。トラヴァーチンとオニックスは温泉から生まれた兄弟みたいな関係です。
世界各国のトラヴァーチンの丁場は温泉地近郊(or 古くは近郊であった)であり、オニックス化した層があったりします。
反対にオニックスの丁場にはオニックスになりきっていないトラヴァーチンが部分的に存在するのです。
また、トラヴァーチンは岩石の表面に直接堆積することがあり、それを石灰華段と称し、その代表が1985年にマイルドセブンのCMで有名になった世界遺産のパムッカレです。後ほど観光地案内で紹介します。

*参考にイタリアのトラヴェルチーノロマーノはローマ近郊の温泉地であるティヴォリ(Tivoli)から産出されています。
*トラヴァーチンの語源は、現在でこそ、色々な国で産出されているが、古くはイタリア ローマ近郊のティヴォリ産だけであった。ティブルは古代ローマ時代にティヴォリ付近に存在した都市国家の名前で、その時代にはトラヴァーチンは『LAPIS TIBURTINUS(ラピス ティブルティヌス)』と呼ばれ、(LAPIS=ラテン語で石or鉱石、意味はティブルの石)それが変化してイタリア語でトラヴェルチーノ(TRAVERTINE)となり、英語読みでトラヴァーチンとなったとの事です。
『丁場紀行』トルコ丁場紀行:後編 No.6-2◆ISPARTA地区
ツンドラグレー : 
丁場はISPARTA市から約80kmに位置する。この地区一帯ではグレー系大理石が多く採掘されており、採掘各社独自名を持っているがツンドラグレー名が一早く広まったのでこの地区で採掘されるグレー系はツンドラグレーと呼ばれる場合が多い。
またどの丁場でも採掘ピットで色柄が若干異なり、異なった色柄での名称が存在する。
よって市場に出回るツンドラグレーの色柄は非常に多い。
『丁場紀行』トルコ丁場紀行:後編 No.6-2◆ANTALYA地区
バイサベージュ : 
丁場はANTALYA空港から車で南西に海岸沿いを約1時間走り、FINIKE市から南に山を上がった地区に数ヶ所の丁場が点在する。各丁場で地色、目合いが異なる。
採掘当初の名称は単なる『ライムストーン』だったので購入側が独自に名称を付けました。
よって色々な名称で呼ばれています。残念ながら現在は良材確保困難です。
当初の購入丁場のオーナーの実兄は、アンタルヤ地区の裏社会のボスでした。一度食事に参加されたのですが、暑いのに真っ黒なスーツ姿でボディーガードも一緒。周りの者はピリピリ状況。おまけに私は隣の席に指名されて、何とも言えない食事会でした。
『丁場紀行』トルコ丁場紀行:後編 No.6-2 ◆MERSIN地区
ジュピターブラウン : 
丁場はADANA空港から約70kmに位置する。2013年から採掘開始の若い丁場。
2017年にアモイストーンフェアーで展示していたので興味を持ち、同年11月に丁場訪問。地色は濃い茶色、全体的に小さな巣穴があり、部分的にオニックスが混ざる珍しい石種。
私的には、トラヴァーチンとオニックスの中間的な石種と思っている。しかし層状の縞模様が存在しないのが不思議なんです。
『丁場紀行』トルコ丁場紀行:後編 No.6-2

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