『丁場紀行』ギリシャ丁場紀行 2023年5月出張編 No.10-1

今回で『丁場紀行』10回目の発信です。
前回は『フィリピン丁場紀行』を案内しましたがいかがでしたか?

2019年12月から始まった新型コロナ感染症もほぼ終息し、5月5日にはWHOが新型コロナ「緊急事態宣言」終了を発表し、日本政府が5月8日にコロナ感染を感染症法で『5類(季節性インフルエンザと同じ)』に引下げたので、当社においても必要に応じての海外出張が解禁になり、早速5月8~14日でギリシャ(今回案内)、5月23~28日でアンゴラ(次々回案内)、6月26日~7月1日で中国に行きました。
アンゴラに行くのもビザ取得(商用は発給していないので観光ビザ)が必要です。これは次々回の丁場紀行で詳しく案内しますが、中国のビザ取得について、今後出張される方がおられると思うので案内しておきます。 

◆従来(コロナ感染症拡大前)、出張や観光のための15日以内の中国入国について、日本人はビザを免除(滞在15日以内ならノービザOK)でしたが、現時点(7月8日時点)では、中国に入国するのにビザが必要です。申請可能なビザは業務ビザ、就労ビザ、就労家族ビザの3種類だけです。

・取得ビザ : 
我々が出張で取得しなければならないビザは業務ビザです。
・業務ビザの種類 : 
2種類 (シングル2パターン、ダブル4パターン、計6パターン)
*シングル(有効期間中に1回だけ入国可能)、有効期間が3ヶ月、1回での最大滞在期間が30日 or 90日の2パターン
*ダブル(有効期間中に2回入国可能)、有効期間が3か月 or 6ヶ月、1回での最大滞在期間が30日 or 90日の4パターン
*ちなみに私はダブル有効期間6ヶ月、1回での最大滞在期間90日を取得しました。
・招聘状 : 
中国側受入れ企業からの招聘状が必要です。
・ビザ申請書 : 
これがまた色々な個人情報を書かねばなりません。何処の国のビザ申請書よりも記載項目が多いです。
本人情報、パスポート情報、勤務先情報(転職している人は職歴まで)、学歴情報、自宅情報、家族情報〔配偶者、父、母、子供までの名前、生年月日、職業(例えば父母が亡くなっていれば他界と記載)、出生地、住所(番地は不要)〕、招聘元情報、緊急連絡先、中国渡航歴(過去3年間)、海外渡航歴(過去5年間)その他諸々。
・写真 : 
これもまた何処の国のビザ申請よりも規定が多いんです。
大きさは縦48mm×横33mm、カラー写真で背景は白(ここまでは他国でもよくある規定)、細かい規定は顔の大きさ、余白サイズ、眼鏡ダメ、髪の毛でオデコと耳が隠れてはダメ(これは私には心配無用でした)です。
『丁場紀行』ギリシャ丁場紀行 2023年5月出張編 No.10-1 ・警戒渡航歴 : 
渡航歴の中で、アフガニスタン、イラク、イラン、キルギス、シリア、タジキスタン、トルコ、パキスタンに行っていれば、本国照会、領事館判断となり所要日数の追加、追加書類の提出や発給されない場合もあります。
申請時に前のパスポートの提出を求められ(持っている人だけでOK)、この警戒渡航先に私はイラン1回とトルコには12回行っており、これが問題となり領事館でのディープな審査になりました。
申請時は中国ビザセンター(私の場合は名古屋)に行き、既に送っている申請書の確認、顔写真の撮影、両手の指紋採取をするのですが、私だけビザ代理店からトルコとイランの渡航歴資料が提出されていました。
『ビザセンターではとりあえず受付するが、三木さんは警戒渡航先への渡航があまりに多く、また中国が警戒しているサウジアラビア、またインドや欧米、最近では台湾にも入国し、中国への回数も多いので非常にディープな審査になります。本国or領事館の判断で発給されない場合もあります。』と言われました。
そこまで言われれば、渡航数も多く、おまけに通常の会社員では行かないような国への渡航も多く、申請の写真(上の写真)が武器商人みたいだし、工作員みたいだし・・・・自分自身で妙に納得した次第です。
結果的にはディープな審査の結果、ビザ発給承認されました。ところが6月26日の厦門の入国イミグレーションで私だけが足止めされ、何の仕事か?仕事の目的は何か?招聘状を見せろ。などなどのスッタモンダ。最終的には粘り勝ちで無事に入国出来ました。

前置きが長くなってしまったので話題をギリシャに戻しますが、その前に・・・・

初めてギリシャに行ったのは33年前です。当時はイタリアからギリシャとユーゴスラビアへの検品出張です。ギリシャでは主にホワイトペンテリコンティノスグリーンを検品、ユーゴスラビア(現在の北マケドニア)ではシベックを検品していました。
ホワイトペンテリコンは後程紹介、ティノスグリーンは次回紹介するので、ギリシャの前に大変な思いをしたシベック検品を紹介します。
当時はピサ→ローマ→ベオグラード→国内線でスコーピエ→車で約2時間のシベック丁場検品→スコーピエ→ベオグラード→アテネ→ローマ→ピサの旅程です。行きのスコーピエ到着は23時頃で一人でタクシーに乗ってホテルに行くのですが、毎回のぼったくりです。とは言っても通常500円ほどが2,000円請求される位です。ある出張でタクシーに乗る前に金額交渉し、700円ほど決めましたが途中で確認したら2,500円。『なんでや。700円で決めたやんか。』と怒ったら、真っ暗道で車を急停止し『ここまでが700円。早く降りろ。さもないと・・・・』と迫られました。命を掛けるほどの金額でもないし、荷物も無くなる可能性が高いしと即座に考え『分かった。分かった。2,500円払うからホテルまで行ってくれ。』と折れた次第です。
あの時は本当に焦りました。今も忘れない恐怖体験です。
また、ベオグラードからアテネに移動も大変です。スコーピエを朝7時発に搭乗し、ベオグラードに8時到着、アテネに向かうフライトは夜の21時。要するに、トランジット時間は13時間もあるのです。当時のベオグラード空港には周りには何もなし、椅子も少なく、トイレに行って戻ってきたら座る場所もないような小さな空港。寝ても寝ても時間は経過せず、こんな空港で一人で13時間も時間を潰すのは本当に大変でした。数回この経験をしているので、最近の6時間程度のトランジットは平気なのです。

シベック : 
現在の産地国名は北マケドニア。北マケドニア南部のプリレップ(PRILEP)近郊に昔も今も丁場があります。
白地に黒斑やぼや~~とした薄グレー帯が斜めや平行に流れる白大理石の銘石です。
1990年~2010年には白大理石といえば、ビアンコカラーラ、ホワイトペンテリコン、アラべスカート系と並んで国内に流通し、2010年代にはフランスの高級ブランドの店舗に厳しい品質要求で採用されていました。
古くから流通している石には珍しく、丁場オーナーが4回も変わっています。
当初は国営のMERMEREN KOMBINAT社、その後ギリシャのFHL社、その後ギリシャのPAVLIDIS社、2023年2月にはPAVLIDIS社がシベックだけでなく所有丁場の全てをアメリカのファンド会社 EMC Partners社に売却しました。
『丁場紀行』ギリシャ丁場紀行 2023年5月出張編 No.10-1 ◆1990年当時のシベック検品出張時の余談
1990年当時は丁場オーナーは国営のMERMEREN KOMBINAT社で輸出業務は貿易会社のVARDER社が受け持ち、輸出業務は貿易会社のVARDER社が受け持ち、我々の検品を案内してくれるのはVARDER社のコスタジェンカ女史(おばさん)でした。
昼食(昼食と言っても検品後の14時頃)は、丁場を挙げて歓迎(要するに国のお金で皆で食事する)して頂き、川魚や肉類、地元の焼き野菜、地元ワインや地元のお酒(名前不明)で大宴会です。口休めの湯がいたピーナツ山盛りを思い出します。
また、毎回のルーチンでしたが、検品後スコーピエに戻る道中の八百屋に寄って、コスタジェンカさん(おばさん)が自宅へのお土産の野菜買い出しのお付き合いしていました。お裾分けでもらうトマトが最高に美味しかったと記憶しています。

そろそろ本題の『ギリシャ丁場紀行』に入りましょう・・・・・ 
5月8~14日のギリシャ出張の最大ミッションは、アンブロシアというベージュ系角礫岩(イタリア語ではブレッチャ)の原石検品です。
某工事の某設計者にイタリアの某大手石材業者が見本提出した石種ですが、世界的に流通しておらず情報で分かっているのはギリシャ産だけでした。
その石種を当社のギリシャ側協力業者が探し出し、丁場調査した情報を当社が現場に報告し、工事受注となりました。そのアンブロシアの原石検品と5年ぶりのギリシャ丁場視察を兼ねた出張で下記スケジュールでした。
『丁場紀行』ギリシャ丁場紀行 2023年5月出張編 No.10-1◆ギリシャ産(北マケドニア産も記載)大理石の丁場位置を紹介します。
赤文字は今回の出張で丁場視察した石種、今回の丁場紀行で案内します】
黒文字の石種は、次回の丁場紀行で案内します】 
『丁場紀行』ギリシャ丁場紀行 2023年5月出張編 No.10-1 ■5月8日(月): 
羽田を出発し、14時間30分でトランジット地のミュンヘンに到着。ヨーロッパでのフランクフルトに次いでのハブ空港なので様々な人種でごった返していました。残念なのがミュンヘン空港の床は中国G603です。やはりヨーロッパには不似合い。
飛行時間ですがロシアのウクライナ侵攻でロシア上空を飛べないため、北欧廻りになったので以前より2時間半ほど長くなり、チケット代も以前の1.5~2倍、機内は燃料節約のためか凄く寒く、長袖のパーカーを着ていましたが凍えてました。
テッサロニキ行きの飛行機はギリシャ人で満員。定刻より約30分遅れで到着。空港にアテンド依頼していたBさんの姿が見えず焦りましたが、10分後に無事合流してホテルに向かいました。チェックイン後はビールで乾杯。
『丁場紀行』ギリシャ丁場紀行 2023年5月出張編 No.10-1

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